
60代からの歯の選択肢:固定式と取り外し式を見極める視点
60代で入れ歯のつけ外しや噛みにくさが気になる場合、選べる方法はいくつかあります。顎の骨に土台を埋めて歯を固定するインプラント、少ない本数のインプラントで入れ歯を留めるオーバーデンチャー、今の入れ歯の調整や作り直しなどです。どの方法が合うかは年齢だけでは決まらず、食べたい料理、体の調子や飲んでいる薬、将来ご自身やご家族がどこまでお口の手入れを続けられるかによって変わります。
この記事では、固定式と取り外し式のしくみや噛む力の違い、老後を見すえた手入れのしかた、治療の前に歯科医師へ伝えておきたいことをまとめました。
この記事の要点まとめ
- 入れ歯は歯ぐきや残った歯で、インプラントはあごの骨で支えます。取り外しができるオーバーデンチャーも選べます。
- 噛みたい食べ物や手入れのしやすさに加え、将来の介助や通院も考えて、固定式か取り外し式かを決めていきます。
- 持病や飲んでいる薬、あごの骨、費用や治療にかかる期間を歯科医師に相談し、今の入れ歯の調整も含めて考えます。
- 取り外す入れ歯とインプラント固定は何が違う?支え方と噛む力
- 毎日の手入れと将来の管理:手が不自由になっても続けられるか
- 60代でインプラント固定を受けられるか:降圧薬・持病・顎の骨の確認
- 費用・治療期間・通院の考え方:仕事や介護の予定にどう組み込むか
- どんな人にどの方法が向く?今の入れ歯の調整も含めた選び方
- よくある質問
- 参考文献
- 監修
取り外す入れ歯とインプラント固定は何が違う?支え方と噛む力

取り外し式の入れ歯とインプラントで固定する歯の大きな違いは、噛む力を「歯ぐきや残った歯」で受けるか、「顎の骨」で直接支えるかという点にあります。見た目だけでなく、食事や会話のしやすさがどう変わるのか、支え方の仕組みから見ていきましょう。
部分入れ歯は歯ぐきと残った歯に頼るため、肉などで沈み込みやずれが出やすい
部分入れ歯は、失った部分の歯ぐきの上に人工の歯を乗せ、残っている周りの歯に金属などの留め具(バネ)をかけて安定させる仕組みです。やわらかい粘膜である歯ぐきは噛む力をかけるとわずかに沈み込むため、厚切りの肉や弾力のある食品を噛んだときに、入れ歯が動いたり隙間から食べ物が入り込んだりすることがあります。
また、毎食後に外して洗う手間が生じるほか、会食や旅行先で入れ歯を外す姿を見られたくないと感じる方も少なくありません。留め具をかける支えの奥歯がぐらついてくると入れ歯全体も揺れやすくなるため、支えの歯の状態もあわせて確かめることが大切です。
インプラントで固定する歯の種類:1本ずつ補う方法とオールオン4(All-on-4)
インプラント治療は、チタンなどで作られた人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を固定する方法です。失った歯を1本ずつ補う方法のほか、多くの歯や全ての歯を失った場合には、4本または6本のインプラントを土台として連結した固定式の歯を支えるオールオン4・6という選択肢もあります。英語では「All-on-4(4本の土台の上にすべてを乗せるという意味)」と表記されます。
部分的に歯を失ったケースでも、複数のインプラントを支えにして少し張り出した形の人工歯(カンチレバー)をつなげる設計が用いられることがあります1。ただし、張り出し部分の長さや噛み合わせの力によってはネジの緩みなどのトラブルに関わる可能性も報告されており、お口の状態に合わせた設計と術後の経過確認が求められます1。
取り外せるのに外れにくいインプラントオーバーデンチャーという中間の選択肢
固定式と取り外し式の中間にあたるのが、顎の骨に2〜4本ほどのインプラントを埋め込み、スナップボタンのような留め具や磁石で入れ歯を固定するインプラントオーバーデンチャーです。普段の食事や会話ではインプラントが支えになるためずれにくく、手入れのときにはご自身で取り外して洗える特徴があります。
下の総入れ歯をインプラントで留めたオーバーデンチャーの試験では、ふつうの総入れ歯より、お口に関わる暮らしやすさや満足度が高まったという報告があります2。一方で、硬い物の噛みにくさはふつうの総入れ歯の方が強く感じていたものの、栄養のとれ方には大きな差が見られなかったという研究もあります3。そのため、入れ歯を変えるだけでなく、食事の中身もあわせて見直すことが大切です。
噛みやすさには個人差がある:「何を噛みたいか」で考える
天然の歯と比べたときの噛む力の感じ方は、顎の骨に直接固定するインプラントと、歯ぐきや残った歯で支える部分入れ歯・総入れ歯とで違いが出やすいとされています。ただし、実際にどのくらいしっかり噛めるかは、残っている歯の本数、顎の骨の厚み、上下の噛み合わせのバランスによって個人差が出ます。
一般的な目安だけで治療法を決めるのではなく、「お孫さんとの外食でお肉を噛み切りたい」「漬物を気にせず食べたい」といった具体的な希望を歯科医師にお話しください。目指す食事のイメージを共有することが、無理のない治療法を選ぶ第一歩になります。
ポイント
入れ歯は歯ぐきと残った歯で支え、インプラントは顎の骨で支えます。中間の選択肢であるオーバーデンチャーも含め、噛みたい食品と着脱の手間を並べて検討していきましょう。
毎日の手入れと将来の管理:手が不自由になっても続けられるか

固定式のインプラントにすると「入れ歯のように外して洗わなくてよいから手入れが楽になる」と思われがちですが、毎日の丁寧な歯みがきと歯科医院での定期管理は欠かせません。60代で治療を考える際は、今の快適さだけでなく、10年後・20年後にご自身の手先が動かしにくくなったときの管理まで見据えておく必要があります。
取り外し式の入れ歯は外して洗う:研磨剤入りの歯みがき粉を使わない理由
取り外し式の入れ歯やインプラントオーバーデンチャーは、お口から外して目で見ながら洗えるため、ご自身での清掃はもちろん、将来ご家族や介護スタッフに手伝ってもらいやすい利点があります。毎食後は流水下で入れ歯用ブラシを使って食べかすを落とし、就寝前には入れ歯洗浄剤を併用して清潔に保ちます。
このとき、一般的な歯みがき粉には研磨剤が含まれているため、入れ歯の清掃には使わないよう注意が必要です4。入れ歯に研磨剤を使うと細かい傷がつき、そこから細菌が増えるおそれがあるためです4。
固定式でも手入れは不要にならない:インプラント周囲の炎症に注意する
固定式のインプラントはむし歯にはなりませんが、手入れが不足すると歯ぐきや骨に炎症が起きるインプラント周囲炎という歯周病に似た状態になることがあります。特に、複数の歯を連結した固定式の装置や張り出しのある構造では、人工の歯と歯ぐきの境目、あるいは土台の下の隙間に汚れがたまりやすくなります。
通常の歯ブラシに加え、歯間ブラシや専用のフロス、水流で汚れを洗い流す洗浄器などを使い分ける必要があります。ご自身では落としきれない汚れや噛み合わせの微妙な変化を確認するため、数か月に一度は歯科医院で定期的なメンテナンスを受けることが長持ちの条件となります。
介助が必要になったとき・通院が難しくなったときに取れる対応
インターネットなどでは「インプラントにすると老後に困る」と言われることがあります。その背景には、病気や年齢で手が不自由になり自分で磨けなくなったとき、固定式の装置をご家族や介護者が外して洗いにくいという事情があります。また、通院が難しくなると専門的なクリーニングを受けにくくなる点も理由の一つです。
こうした将来の変化にそなえる方法として、最初はネジ止めの固定式で作っておくという考え方があります。自分での手入れや通院が難しくなったときに、歯科医師が上にのせた歯の部分を外し、取り外し式のオーバーデンチャーへ作り替えるやり方です。治療の計画を立てる段階から、将来の手入れのしかたも相談しておくと見通しを立てやすくなります。
インプラントが使えなくなった場合の再治療と入れ歯への切り替え
インプラントは長く使える治療法ですが、顎の骨と結合しなかった場合や、強い力がかかって人工の歯が欠けた場合、周囲の炎症が進んだ場合には再治療が必要になることがあります。人工歯の破損であれば修理や作り直しで対応し、インプラント体そのものを撤去することになった場合は、骨の回復を待って再埋入するか、残っている歯やインプラントを支えにした入れ歯へ切り替える方法を検討します。
また、オーバーデンチャーの場合は、入れ歯とインプラントをつなぐ留め具(アタッチメント)のゴムや部品が毎日の着脱で少しずつ摩耗します。数年ごとに部品の交換や入れ歯の裏打ち(隙間を埋める処置)が必要になるため、初期費用だけでなく維持にかかる費用や通院の目安も事前に確認しておきましょう。
60代でインプラント固定を受けられるか:降圧薬・持病・顎の骨の確認
インプラント治療が受けられるかどうかは、60代という年齢よりも、全身の健康状態や服用しているお薬、そして土台を埋める顎の骨の状態によって判断されます。「自分でも受けられるのかな」と迷う段階から、お身体の状態に合わせて確認していく項目を整理します。
降圧薬・糖尿病・骨粗しょう症の薬など、歯科医師に伝えたい服薬と既往歴
60代では、高血圧や糖尿病などで通院し、薬を飲んでいる方も多くいらっしゃいます。たとえば血圧の薬を飲んでいる場合、ふだんの血圧が落ち着いているか、手術中の緊張で血圧が上がりやすくないかを前もって確かめます。心臓の病気や脳梗塞の予防で血液をさらさらにする薬(抗血小板薬・抗凝固薬)を飲んでいる場合は、自分の判断で薬をやめず、出血への対応も含めて計画を立てます。
また、血糖値の状態は傷の治りや感染のしやすさに関わります。骨粗しょう症の治療薬(ビスホスホネート製剤など)を使っている方では、抜歯などの歯科の処置やお口の中の感染をきっかけに、顎の骨が壊死したり炎症を起こしたりすることがあります5。飲み薬で治療している方でも報告があります5。
受診時には必ずお薬手帳や検査結果の控えを持参し、必要に応じて内科などの主治医と連携を取りながら無理のない方法を検討していきます。
顎の骨が足りないと言われた場合の土台づくりと、骨造成を減らす設計
歯を失ってから時間が経っていたり、歯周病が進んでいたりすると、インプラントを支える顎の骨の幅や高さが不足していることがあります。その場合、骨補填材やご自身の骨を用いて骨の再生を促す骨造成(GBR、上顎の奥歯で行うソケットリフトやサイナスリフトなど)を行い、土台を整えてからインプラントを埋入する選択肢があります。
一方で、骨造成を行うと骨が安定するまでの治癒期間や追加の費用、手術の負担が増える面もあります。状態によっては、オールオン4のように骨のある前方の部分に角度をつけてインプラントを埋める設計が検討されることもあります。少ない本数で支えるオーバーデンチャーを選び、大がかりな骨造成を避けて負担を抑える方法もあります。
歯科用CTと口腔内スキャナーで確認すること、手術時の体調管理
手術のリスクを抑えるためには、事前の精密検査が欠かせません。平面のレントゲン写真だけでは分かりにくい顎の骨の厚みや深さを、歯科用CTで立体的に把握します。骨の中を通る神経や血管の位置もあわせて確かめ、口腔内スキャナー(iTeroやトリオスなど)でお口の中の形や噛み合わせを記録します。
これらのデータをもとに手術のシミュレーションを行い、インプラントを埋める位置や角度を記録したマウスピース型の案内装置(ガイド)を作って手術に用いる方法もあります。また、手術への不安や緊張が強い方、血圧の変動を抑えたい方には、笑気麻酔や静脈内鎮静法を用いることがあります。血圧や脈拍を確認しながら専用オペ室で処置を行い、術後はリカバリールームで麻酔が抜けるまで休むといった体調管理の体制が取られます。
ポイント
持病や飲んでいる薬、骨の量によって、合う治療のしかたや手術の準備が変わります。お薬手帳を持っていき、歯科用CTでの検査と主治医との連携のもとで決めていきましょう。
費用・治療期間・通院の考え方:仕事や介護の予定にどう組み込むか
インプラント治療やインプラントオーバーデンチャーは公的医療保険が適用されない自由診療(自費診療)となり、治療期間も数か月に及びます。お仕事のシフトやご家族の介護、将来に向けた貯蓄の計画と照らし合わせながら、無理なく進められるかを見極めましょう。
見積もりで確かめたい内訳:検査・手術・麻酔・仮歯・最終的な歯・メンテナンス
当院の料金は、インプラント1本で330,000円〜400,000円、インプラントオーバーデンチャーで770,000円〜1,320,000円、オールオン4・6で2,500,000円です。いずれもインプラント体、上部構造、手術代、笑気麻酔、精密検査代が含まれます。静脈内鎮静法を使う場合は、別に66,000円〜110,000円がかかります。
見積もりを確認する際は、総額だけでなく「どこまでの処置が含まれているか」を項目ごとに確かめておくことが重要です。
- はじめの費用に入っているか確かめたいもの:歯科用CTなどの検査、インプラント本体、手術、静脈内鎮静法などの麻酔、骨を増やす処置、治療中の仮歯、最後に入る人工の歯(上部構造)のそれぞれの費用
- 治療のあとにかかるお金:定期的なメンテナンス、オーバーデンチャーの留め具(アタッチメント)の交換や入れ歯の修理にかかる費用
医療費控除の対象になる場合もあるため、領収書の保管や申告の手順も含めておくと予算を組みやすくなります。
初診から最終的な歯が入るまでの流れと期間の目安
初診の相談から最終的な歯が入るまでの期間は、一人ひとりのお口の状態によって変わります。インプラントが骨とくっつくまでには一定の期間がかかり、その長さは埋める場所の骨の状態に大きく左右されます6。骨を増やす処置が必要な場合は、さらに期間が延びます6。
主な流れは、①問診・カウンセリング、②歯科用CTやスキャナーによる精密検査、③むし歯や歯周病の治療(口内環境の改善)、④治療計画の説明です。そのあと、⑤インプラント埋入手術、⑥骨とインプラントがくっつくのを待つ期間、⑦型取りと最終的な歯の装着、⑧定期メンテナンスという段階を踏みます。
治癒期間中は毎月1回程度の経過確認となることが多いですが、手術の前後や型取りの時期は通院の間隔が短くなります。週に数日お仕事をされている方や介護の予定がある方は、通院しやすい曜日や時間帯を最初の段階で伝えておくと、スケジュールに合わせた計画が立てやすくなります。
手術後の仕事復帰と治療中の仮歯:配送の仕事や人と会う予定への影響
インプラント埋入手術のあとは、当日から2〜3日ほど痛みが出ることが多く、人によっては1週間ほど続く場合があります7。痛みは痛み止めで和らぐことがほとんどで、腫れは痛みより少し遅れて出ることがよくあります7。
デスクワークであれば翌日から復帰される方もいます。重い荷物を運ぶ配送のお仕事や体を動かす作業の場合は、血のめぐりが良くなって痛みや出血が出やすくなります。そのため、手術後2〜3日はお休みを取るか軽作業に調整できるよう日程を組むのが無難です。
また、治療中に歯がない期間ができることを心配される方も多いですが、奥歯の部分入れ歯をお使いなら、それを調整して仮の歯として使い続けられる場合があります。多くの歯を失いオールオン4などを行うケースでも、骨の硬さや全身状態などの条件が整えば、手術当日に固定式の仮歯を入れられることがあります。ただし、骨と結合するまでの間はやわらかい食事を心がけ、硬い物を噛まないよう注意が必要です。
どんな人にどの方法が向く?今の入れ歯の調整も含めた選び方
入れ歯に不満があるとき、すぐに大がかりな手術を決断しなければならないわけではありません。現在の入れ歯の見直しも含め、それぞれの特徴を並べてご自身の生活に合う方法を探っていきましょう。
入れ歯・オーバーデンチャー・固定式インプラントを項目別に並べた表
主な3つの選択肢について、支え方や手入れ、将来の管理のしやすさを並べました。
| 項目 | 取り外し式入れ歯(保険・自費) | インプラントオーバーデンチャー | 固定式インプラント(単独・オールオン4等) |
|---|---|---|---|
| 支え方 | 歯ぐきと残った歯(留め具) | 少数のインプラント(2〜4本)と歯ぐき | 顎の骨に埋めたインプラント |
| 噛みやすさの目安 | 硬い物や粘る物でずれ・沈み込みが出やすい | 入れ歯のずれが抑えられ安定しやすい2 | 天然の歯に近い感覚で噛みやすい |
| 毎日の手入れ | 外して専用ブラシと洗浄剤で洗う4 | 外して洗う+お口の中の土台を磨く | 外せないため歯間ブラシ等で丁寧に磨く |
| 外科手術の有無 | なし | あり(固定式より本数を抑えやすい) | あり(本数や骨造成により負担が変わる) |
| 費用の考え方 | 保険適用あり(素材により自費もあり) | 自由診療(固定式より抑えやすい傾向) | 自由診療(本数が多いほど高くなる) |
| 治療期間の目安 | 調整は数回、作り直しは数回の通院が必要 | 骨の状態や処置内容で数か月以上かかることがある | 骨の状態や処置内容で数か月以上かかり、骨を増やす場合はさらに長くなる |
| 将来の介助・切り替え | 家族が外して洗いやすい | 外して洗えるため介助に移行しやすい | 清掃が難しくなったら外せる形への変更を検討 |
※噛みやすさや期間は一般的な目安であり、顎の骨や残った歯の状態によって異なります。
今の入れ歯の調整や作り直しで改善する場合もある
現在お使いの部分入れ歯が噛みにくい場合、長年の使用で人工の歯がすり減り、左右で噛み合わせの高さが違う感覚になっていたり、歯ぐきがやせて入れ歯との間に隙間ができていたりすることがあります。また、奥歯がない期間が長く、噛み合う反対側の歯が伸びたようになって噛み合わせが乱れているケースも見られます。
こうした場合は、入れ歯の裏側を埋める修理や噛み合わせの調整で、食事がしやすくなることもあります。お口の形に合わせた新しい入れ歯(薄くて違和感を抑えやすい金属床義歯や、金属のバネがない自費の入れ歯も含む)への作り直しも選択肢です。実際に調整して使ってみてから、やはり固定式にするかを考えるという進め方も一つです。
固定式が向く人・取り外し式やオーバーデンチャーが向く人の目安
どの治療法にも利点と注意点があるため、「どちらが優れているか」ではなく「ご自身の優先順位に合っているか」で選ぶのが現実的です。
- 固定式インプラントが向く方:外出先や家族の前で入れ歯を外すことに強い抵抗がある方、お肉や繊維質の食品をしっかり噛みたい方、毎日の細かい歯みがきと数か月ごとの定期通院を継続できる方
- インプラントオーバーデンチャーが向く方:今の入れ歯のずれや外れやすさを減らしたい一方で、手術の本数や費用はなるべく抑えたい方、将来手先が不自由になったときでも外して洗いやすい形を残しておきたい方
- 入れ歯の調整・作り直しが向く方:外科手術や持病への影響を避けたい方、老後資金の計画から初期費用を抑えたい方、まずは今ある入れ歯でどこまで噛みやすくなるか試してみたい方
大垣市の杉山歯科医院へ相談する前にメモしておきたい4つのこと
大垣市で入れ歯やインプラントについて相談する際は、治療を受けると決めていなくても「自分にはどの方法が合うのか知りたい」という段階から受診して差し支えありません。診察の時間を充実させるため、次の4つをメモして持参することをおすすめします。
1. 食事の希望と困りごと:「孫と外で食べるとき、お肉がかみにくい」「食べたあとに外して洗うのがつらい」など、困っているときのようす
2. ご予算の考え方:はじめに使えるお金の上限と、あとの手入れや修理にかかるお金も含めた希望
3. 通院できる曜日・予定:お仕事のシフトやご家族の介護など、通える曜日や時間帯
4. お身体の情報:いま飲んでいるお薬(お薬手帳)、高血圧などの持病、これまでにかかった病気
まずは使用中の入れ歯とお薬手帳を持参し、お口と顎の骨の状態を確かめたうえで、無理のない選択肢を歯科医師と一緒に整理してみてください。
ポイント
固定式、オーバーデンチャー、入れ歯の調整にはそれぞれ向き不向きがあります。食事の希望、予算、通院予定、お薬手帳の4つを準備して相談すると、ご自身に合った計画を立てやすくなります。
よくある質問
Q1. 60歳の場合、入れ歯とインプラント、どちらが良いですか?
A. 年齢だけでどちらが良いかは決まらず、何を優先したいかによって適した方法が変わります。着脱の手間をなくして天然の歯に近い感覚で噛みたい方には、固定式のインプラントが向いています。
外科手術の負担や初期費用を抑えたい方、将来の介護を見据えて外して洗える形にしておきたい方には、入れ歯の作り直しやインプラントオーバーデンチャーが適している場合もあります。顎の骨や持病の確認も含め、両方の特徴を比べて検討することが大切です。
Q2. 入れ歯をつけたくない場合、どうすればいいですか?
A. 取り外し式の入れ歯に抵抗がある場合は、失った歯の両隣が残っていれば橋渡しにする「ブリッジ」、顎の骨に人工の歯根を埋める「インプラント」が主な選択肢になります。多くの歯を失ってブリッジが難しい場合は、4〜6本のインプラントで固定式の歯を支えるオールオン4・6という方法があります。最小限のインプラントで入れ歯が動かないよう留めるオーバーデンチャーなど、着脱のストレスを減らす方法も検討できます。
Q3. インプラントは老後に困ると言われるのはなぜですか?
A. インプラントを入れた人が全員そうなるわけではなく、ご自身で歯みがきや通院ができなくなった場合に困ることが起こりえます。固定式のインプラントだと周囲の汚れを落としきれず、歯ぐきの腫れやインプラント周囲炎を招きやすくなるためです。こうした事態を防ぐには、お口の中にインプラントがあることをご家族とも共有しておくことが有効です。
また、インプラントの本数や位置、角度によっては、取り外し式の構造(オーバーデンチャーなど)へ切り替えられない場合があります。切り替えられる場合もあるため、設計の段階から歯科医師と管理方針を相談しておきましょう。
Q4. インプラントがダメになったら、入れ歯はどうすればいいですか?
A. インプラントの人工歯が欠けた場合は修理や作り直しを行い、土台そのものが使えなくなって撤去した場合は、傷口と骨の回復を待ってから取り外し式の部分入れ歯や総入れ歯を作ることができます。複数のインプラントのうち一部が残っているなら、そのインプラントに留め具をつけて入れ歯の支えとして活用する(オーバーデンチャーへ移行する)方法も選べますので、早めに歯科医院へご相談ください。
参考文献
1. Kondo Y, Sakai K, Minakuchi H et al. Implant-supported fixed prostheses with cantilever: a systematic review and meta-analysis. International journal of implant dentistry. 2024. PMID: 39570465 / DOI: 10.1186/s40729-024-00573-8
2. Kheur M, Lakha T, Mühlemann S et al. Evaluation of Oral Health-Related Quality of Life and Patient Satisfaction in Three-Implant-Retained Mandibular Overdentures: A Randomized Crossover Clinical Trial. The International journal of prosthodontics. 2023. PMID: 36484663 / DOI: 10.11607/ijp.7909
3. Muller K, Morais J, Feine J. Nutritional and anthropometric analysis of edentulous patients wearing implant overdentures or conventional dentures. Brazilian dental journal. 2008. PMID: 18568230 / DOI: 10.1590/s0103-64402008000200011
4. 大垣市公式ホームページ「清潔な入れ歯でなんでもおいしく食べよう!」 https://www.city.ogaki.lg.jp/0000020630.html
5. 医薬品・医療機器等安全性情報 No.231 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構. https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/calling-attention/safety-info/0062.html
6. よくあるご質問 | 公益社団法人日本口腔インプラント学会. https://www.shika-implant.org/min-implant/faq/
7. インプラント Q&A of 岩手医科大学 口腔インプラント学分野. https://implant.iwate-med.ac.jp/cn25/FAQ.html
平成23年 愛知学院大学歯学部卒業
岐阜大学医学部附属病院 歯科口腔外科
杉田玄白記念公立小浜病院(福井県)
平成25年 岐阜大学大学院 医学系研究科医科学専攻 (口腔病態学分野)
平成29年 岐阜大学医学部附属病院 歯科口腔外科 助教
平成30年 吹上みなみ歯科(名古屋市)
平成30年 医学博士号取得 医博甲第一〇八九号
令和2年 杉山歯科医院
日本口腔外科学会認定 口腔外科認定医
日本再生医療学会 再生医療認定医
日本糖尿病協会登録歯科医
日本口腔科学会会員
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