「オーラルフレイル対策のための口腔体操」で 簡単エクササイズ
2021/02/05
新型コロナウイルスを含む感染症対策の基本に「マスク着用を含む咳エチケット」があります。
しかし、マスクをしていると、顔が隠れている安心感から表情筋を動かさなくなり、口角が下がり、頬のたるみやしわ、ほうれい線が目立ってくることが心配されます。
また、喋らなくなることで口の周りの筋肉を動かさなくなり、その筋肉が衰えて、「オーラルフレイル」につながる恐れがあります。
「オーラルフレイル」は、口の機能低下、食べる機能の障がい、さらには心身の機能低下までつながる負の連鎖に警鐘を鳴らした概念です。オーラルフレイルを予防するには、口の“ささいな衰え”に気づき、健康な状態へ戻すための適切なケアとトレーニングをしていくことが重要です。
最近、むせる、食べこぼす、滑舌が悪くなった、やわらかいものを好んで食べるようになったという方は、かかりつけ歯科医に相談しましょう。
また、マスクをすると息苦しさから口呼吸になりやすく、口が開いて乾燥しがちです。乾燥すると唾液の分泌量が減少して口の中の細菌が増え、口臭が強くなったり、むし歯や歯周病リスクが高くなることの他、誤嚥性肺炎などを引き起こす可能性があります。
このように、唾液には食べ物の消化を助けるだけでなく、歯や歯間に付着した食べかすやプラーク(歯垢)を洗い流し細菌の増殖を抑える作用、飲食により酸性に傾いた口の中のpHを中和させてむし歯を防ぐ機能、いろんな刺激から粘膜を保護する働きなどがあります。
日本歯科医師会ではこのほど、オーラルフレイル対策、唾液の分泌の促進などを目的とした短時間でできる体操を「お口・舌の動きをスムーズにする」「飲み込むパワーをつける」「噛むパワーをつける」「滑舌をよくする」「舌のパワーをつける」の5つの効果別に紹介した「オーラルフレイル対策のための口腔体操」をホームページに掲載しました。
お口の健康は全身の健康につながりますので、普段の生活に口腔体操を取り入れてみてはいかがでしょうか。
(日本歯科医師会HPより https://www.jda.or.jp/jda/release/detail_141.html)
①お口・舌の動きをスムーズにする体操
(効果)唇やほほ、お口周りや舌の筋力をアップすることで、お口の機能が高まり、唾液がよく出るようになり、舌がなめらかに動いて食べ物を飲み込みやすくなります。お顔の表情もイキイキしてきます。
(唇を中心とした)口の体操
①口をすぼめる。
②「イ〜」と横に開く。
(唇と)ほほの体操
ほほを膨らませた後、すぼめるという動きを数回する。(水はなくてもOK)
舌の体操(舌圧訓練)
①下を左のほほの内側に強く押しつける。
②自分の指で、口の中の舌の先を、ほほの上から押さえる。
③それに抵抗するように、舌をほほの内側に、ゆっくり10回押しつける。
④右のほほでも同じことを繰り返す。
パタカラ体操
①「パ」・・・唇をはじくように
②「タ」・・・舌先を上の前歯の裏につけるように
③「カ」・・・舌の奥を上顎の奥につけるように
④「ラ」・・・舌をまるめるように
各発音8回を2セット行う。
唾液腺マッサージ
①耳下腺マッサージ・・・指数本を耳の前(上の奥歯のあたり)に当て、10回ほど円を描くようにマッサージしていく。
②顎下腺マッサージ・・・顎のラインの内側のくぼみ部分3〜4カ所を順に押していく。目安は各ポイントを5回ほど。
③舌下腺マッサージ・・・顎の中心あたりの柔らかい部分に両手の親指を揃えて当て、10回ほど上方向にゆっくり押し当てる。
②飲み込むパワー(嚥下機能)をつける体操
(効果)飲み込みに関連する筋力をアップすることで、食事中に「むせ」などの症状改善につながります。
開口訓練
①ゆっくり大きく口を開け10秒保持する。
②しっかり口を閉じて10秒休憩する。
*お口を開くときには、無理せず痛みが出ない程度にしてください。
1日10秒✖️2セット(朝・夕)行ってください。
ベロ出しごっくん体操
ベロを少し出したまま、口を閉じてつばを飲み込む。
おでこ体操
①指先を上に向け、手のひらでおでこを押し合うようにする。
②おへそをのぞき込みながら、5つ数える。
*首に痛みのある方や高血圧の方は避けましょう。
ごっくん体操
喉ぼとけに手を当て、ゴクンと飲み込む。
喉ぼとけが上がることを確認する。
*体操の前に位置をチェックしましょう。
①喉ぼとけを上げるのどに手をあてたまま、顎を少し引く。
ゴクっと飲んで、喉ぼとけを上げる。
②上げたまま5秒保つ
喉ぼとけを上げたまま、5秒保つ。
*5秒が難しければ、できる長さで無理せず行いましょう。
③息をしっかり吐き出す
息を一気に吐き出す。
*お腹からしっかりと吐き切りましょう。
③噛むパワー(咀嚼機能)をつける体操
(効果)「食べこぼし」や、食べ物が鼻に流れ込むのを防ぎます。また、唾液がよく出るようになると、美味しく安全に食べられます。
咀嚼(そしゃく)訓練
ガムを噛むことによりかむために必要な筋肉を鍛えることができます。
*姿勢は正しく
*左右両側で均等に噛みましょう。
1日2回(朝と夜)、2分間はリズムを決めて、3分間は自由に、計5分間ガムを噛む。
①唇を閉じて、しっかいと噛む。
②ガムは1箇所で噛まず、左右両側均等に噛む。
③姿勢を正して噛む。
④滑舌をよくする体操
(効果)口の動きをよくすることで、明瞭な発音につながり、表情が豊になります。
早口言葉
口を大きく動かしながら3回続けて言ってみましょう。
レベル1 なまむぎ なまごめ なまたまご (生麦 生米 生卵)
レベル2 隣の客はよく柿食う客だ
レベル3 あおまきがみ おかまきがみ きまきがみ (青巻紙 赤巻紙 黄巻紙)
レベル4 隣の竹垣に竹立てかけたのは 竹立てかけたかったので 竹立てかけた
⑤舌のパワーをつける体操
(効果)「誤嚥」や「むせ」などの症状改善につながります。
舌のトレーニング
①舌で下あごの先を触るつもりで伸ばす。
②舌で鼻のあたまをさわるつもりで伸ばす。
③舌を左右に伸ばす。
④お口の周りをぐるりと舌を動かす。
⑤スプーンなどを使って、下に当てて押し、その力に抵抗するように舌を上げます(右から・左から・前からと同様に行います)。