口腔ケアで免疫力アップ!
2020/07/24
新型コロナウイルス 感染症について (日本歯科医師会HP)
口腔ケアで免疫力アップ!
口腔ケアで免疫力アップ!
人の免疫は、害を与える微生物などに対して働き、病気を軽く済ませてくれたり、発症を未然に防いでくれたりします。この病気の発症は、微生物の悪さをする力と免疫力のバランスが崩れた時に生じるのです。このバランスを免疫力優位にしておく必要があります。その方法の1つが、口腔ケアです。
口の中には、細菌が沢山いるのをご存知ですか? 常在細菌といって、体を守る働きを示すものもありますが、悪さをする細菌もいます。この悪さをする細菌やウイルスを減らすことが大切です。細菌の塊であるプラークは、歯磨きをしないと落とすことはできません。
口の中には、もう1つ細菌の塊があります。それは舌の表面についた舌苔です。これらの細菌を口腔ケアにより減らすことで、口腔の免疫が十分に働くことができるようになるのです。口腔の免疫は、IgA(※)という抗体が働き、害を及ぼす微生物を排除してくれる粘膜免疫というシステムで実行されています。しかし、このIgAも口の中が汚れていれば、敵が多すぎて、防衛が難しくなってしまうのです。
※本記事はIgAと新型コロナウイルスの関係性について直接説明しているものではありません。
口腔ケアで免疫力アップ!
口腔ケアの大切さ
新型コロナウイルス感染症が、世界中で蔓延し多くの人を苦しめています。最先端の科学によりワクチンや治療薬の開発が進んでいますが、まだ完成していません。そして、新型だけあって、わからないことも多数あります。このような時、大切なことは、これまでの経験を総動員して、感染しないために良いと考えられることは、何でも行うということです。マスクも初めは海外では推奨されていませんでしたが、今は誰でも必要なことを知っています。歯磨きなどの口腔ケアは、インフルエンザへの感染リスクを下げることがわかってます。
この経験は大切であり、新型コロナウイルス感染症対策として、試す価値は十分あります。いま新型コロナウイルス感染症に対しても口腔ケアが大切だという証拠を多くの研究者が探していますが、もう少し待つ必要があります。
もう一つ大切なことは、歯周病を放置し重症化してしまうと、歯周ポケットという深い溝ができてしまい、プラークや舌苔のように細菌の温床ができてしまいます。歯周ポケット形成の原因となる歯周病原細菌は、さまざまな分解酵素を持ち、それを口腔内にまき散らし、ウイルス感染を進めてしまうことも分かってきました。
いま歯科医院は、高度な感染防止対策を行い、皆さんを受け入れる準備を整えています。ぜひ、口腔ケアの大切さを理解していただき、歯科疾患を進めないために歯科医院でのチェックも忘れないでください。
ブラッシング・口腔ケアでウイルス感染症に備えましょう。
岐阜県歯科医師会 新型コロナウイルス 対策本部
新型コロナウイルス感染症に備えましょう。
岐阜県歯科医師会 新型コロナウイルス 対策本部
口は、食べ物や病気を引き起こす病原体などの異物が入ってくる体の入り口です。
口の粘膜には「粘膜免疫」と呼ばれる病原体に対する防御機能が備わっています。「粘膜免疫」とは、口から入った病原体が粘膜に付着すると、全身免疫に情報を送るのと同 時に、付着した粘膜近くのリンパ組織を介して、病原体の侵入を阻止する物質(分泌型 IgA)を唾液中に分泌し素早く病原体に反応しています。ウイルスは喉や気管の粘膜で 増殖するため、「粘膜免疫」は感染予防に有効です。
私たちの体は腸内細菌と同じように、口の中の細菌とも上手に共存しています。口の中に細菌が適切に存在することで、多くの病原体を防ぐのです。
しかし、歯みがきや口腔ケアをおろそかにしていると、むし歯や歯周病・歯肉炎の原 因となる菌が増殖し、プラーク(歯垢)となります。このプラークには気管支炎、肺炎など の発症や重症化にかかわる肺炎球菌やインフルエンザ菌のほか重篤な感染症の原因と なる黄色ブドウ球菌、緑膿菌、セラチア菌などの細菌も含まれているとみられます。
口の中が不衛生な状態になり細菌が増えてしまい、一部の細菌からプロテアーゼ(ウイルスを気道の粘膜から細胞に侵入しやすくする作用を持つ)+ノイラミニダーゼ(細胞内のウイルスを細胞外に拡散、繁殖させ感染を拡大する作用を持つ)といった酵素を生 成し口や喉の粘膜にウイルスが侵入し、ウイルス性感染症に感染しやすくなるのです。
歯ブラシ・口腔ケアは、むし歯・歯肉炎・歯周病を予防するだけでなく全身的な感染症 を予防するためにも欠かせないことなのです。